「やせる」から「整える」へ。私が見つけた新しい体重との向き合い方
「そろそろ本気でやせなきゃ」と思い続けて、何年がたったでしょうか。
SNSで流れてくる “理想体型” の写真を見るたびにため息が出て、短期集中の食事制限や運動に一度は挑戦してみました。けれど、結果が出なければ続かないですし、続けた先にどんな自分がいるのかも、正直よくわからなくなっていました。
「頑張っているのに報われない」と感じるたびに、自分の体にも心にも、少しずつ疲れがたまっていったように思います。
そんなときに出会ったのが、「整える」という考え方でした。
“減らす” でも “鍛える” でもなく、“整える”。
それは、ただ体重を落とすのではなく、日々の暮らしを見直しながら、自分を少しずつ心地よい状態へと導いていくアプローチです。
たとえば、毎朝水素水を飲んでみること。階段を登り降りすること。青汁を続けてみること。
そんな自然で無理のない習慣を積み重ねていくうちに、「これが私にとっての正解かもしれない」と思える感覚が生まれてきました。
今の私は、「体重を減らす」ことよりも「暮らしを整える」ことに意識を向けています。
たくさんの遠回りをしてきましたが、今ならはっきりと言えます。
私にとっての “ウェイトウェルネス” は、数字ではなく「心と体の調和」を感じられる日々にあるのだと。
ウェイトウェルネスとは?

私が「整える」という視点に出会ったとき、もうひとつ心に残ったキーワードが「ウェイトウェルネス」でした。
直訳すれば「体重の健康」といった意味ですが、この言葉にはもっと広い意味が含まれていると感じています。
従来の「体重=軽ければ良い」という価値観は、近年見直されつつあります。
特に欧米では、「ヘルシー・アット・エブリー・サイズ(Healthy at Every Size)」という考え方(アメリカ栄養士協会などでも紹介されている非体重中心型の健康観)が注目されており、体重の数字だけで健康を判断せず、日常生活の質や心の状態、身体機能の健やかさを重視する流れが広がっています。
この流れの中で、「ウェイトウェルネス」という概念も生まれました。
私がこの「ウェイトウェルネス」という言葉を知ったのは、イギリスの健康コーチ・Clair Mackenzie さんのブログでした。
彼女は「Weight Wellness Mindset Coaching」というシリーズの中で、体重そのものよりも “心地よく暮らせる自分” を見つけることの大切さを語っていて、とても印象に残りました。そこでは、ウェイトウェルネスを「あなた自身が快適に感じられる、バランスのとれた状態」と定義していました。
体重や見た目のゴールに向かって無理をするのではなく、今の自分の暮らしの中で、心と体を少しずつ調和させていく。そのプロセスこそが健康であり、美しさなのだと。
この考え方は、私にとって衝撃的でした。
それまでの私は、毎日数字に追われ、少しでも体重が増えると落ち込んでいました。
でも、睡眠の質が上がったり、食後に体が軽く感じたり、気分よく一日を過ごせたときは、たしかに「健やかさ」を感じていたのです。
それが「ウェイトウェルネス」なのだと知ってからは、体重計の数字に一喜一憂することが、だんだん少なくなっていきました。
ウェイトウェルネスは、体重だけでなく、気分・姿勢・肌の調子・エネルギーレベルなど、多様な “整い” の指標を含んでいます。
そして、それは一人ひとり異なります。他人と比較して決めるものではなく、自分自身の心と体に耳を傾けながら、ゆっくりと築いていくものです。
出典:Health at Every Size
Episode #161 – Weight Wellness Mindset Coaching Experience Q&A
072: Savouring Healthy Weight with Psychologist Deb Thompson
Academy of Nutrition and Dietetics: Revised 2022 Standards of Practice and Standards of Professional Performance for Registered Dietitian Nutritionists (Competent, Proficient, and Expert) in Adult Weight Management
“整える” ために私が取り入れてきたこと

「整える」ことを意識するようになってから、私の生活習慣は少しずつ変わっていきました。
それは、大きな目標や厳しいルールを掲げるのではなく、「今日できることを、心地よく続けてみる」ことの積み重ねでした。
まず意識し始めたのは、「飲むもの」でした。以前は甘いカフェラテやジュースを無意識に選んでいたのですが、今は朝起きたら常温の水素水を飲むようにしています。体の中にやさしく染み渡るような感覚があり、目覚めが穏やかになるのを感じています。
その延長で、日中も意識的に水分をとるようになりました。しっかり水を飲むと、むくみが減ったり、頭がスッキリしたりと、小さな変化を実感しています。
次に取り入れたのは、乳酸菌入りの青汁です。これは味が好みだったこともあり、毎日無理なく続けられています。便通が整うだけでなく、食後のだるさが軽減されたように感じました。
運動に関しては、「頑張る」ことより「動く」ことを重視するようになりました。
たとえばエスカレーターを使わずに階段を使う。買い物ついでに遠回りをして歩く。朝起きたら軽くストレッチをする。
特別なウェアも器具も必要なく、日常の中で取り入れられる “動き” が、自分にとって無理なく続けられる方法でした。
睡眠の質を整えることも、私にとっては重要でした。
朝しっかり階段の登り降りをして、夜スマートフォンを見る時間を減らして、寝る前には静かな音楽を取り入れることで、入眠がスムーズになりました。翌朝の目覚めが快適だと、一日を整った気持ちで始められます。
そして、何より意識するようになったのは、「自分の心の声を聞くこと」です。
体が疲れているときは早く寝る。気持ちが沈んでいるときは、運動をしたりノートに思いを書き出したりする。
そうやって、自分の状態に素直になることが、「整える」ことの第一歩なのだと実感しました。
これらの取り組みは、どれも大げさなものではありません。ただ、自分にとって「少し気持ちがよくなること」を見つけて、それを続けていく。それが、私にとってのウェイトウェルネスにつながっています。
SNSで見かける劇的な変化やストイックな習慣に比べると、地味で目立たないかもしれません。
でも、毎日を心地よく過ごせるようになった今、私はこの “整える” 暮らしをとても気に入っています。
測るものが変わると、続けやすくなる

以前の私は、毎朝体重計に乗ることが日課でした。
けれど、それは「減っているかどうか」を確かめるためであり、増えていれば一日中気分が沈んでしまうこともありました。体重が減れば嬉しい、増えれば落ち込む —— その繰り返しに、だんだん疲れていったのです。
そんな私にとって、ウェイトウェルネスの考え方に触れたことは、「何を基準にするか」を見直すきっかけになりました。
体重だけを測るのではなく、“今の自分の整い具合” を多面的に見てあげること。その視点を持つようになってから、日々の取り組みがずっと続けやすくなりました。
たとえば、前日の睡眠の質。ぐっすり眠れたか、朝すっきり起きられたか。
あるいは、食後に体が重だるくならずに動けたか。外に出て歩いたときに気分が軽くなったか。
そんな小さな「整っている実感」を、ひとつずつ確かめていくようにしました。
もちろん、体重やウエストの変化がモチベーションになることもあります。
でも、数字だけに頼ると、少しの変化で自分を否定してしまうこともある。
それよりも、「気持ちよく目覚められた朝が3日続いた」「お通じの調子がいい」「気分が落ち着いている」といった、日常の変化を “成果” として見てあげるほうが、自分への信頼が育つように感じています。
私にとって、“測る” ものを変えるというのは、自分との向き合い方をやさしくするということでもありました。
厳しい評価ではなく、肯定と調整のサイクルをつくること。
それが、「続けることが苦しくない」ウェルネスの形だと、今では思っています。
ウェイトウェルネスのすすめ

ここまで、私自身が「整える」暮らしにシフトしてきた経験についてお話ししてきました。
けれど、この考え方は特別なものではなく、誰にでも取り入れられる柔軟さがあると思っています。
それは「やせること」を最優先にするのではなく、自分にとって心地よく、長く続けられる “整った状態” を見つけるというアプローチです。
ウェイトウェルネスに取り組むうえで大切なのは、「正解はひとつではない」と知ることです。
たとえば、体重計に乗るのがストレスになるなら、無理に毎日測らなくても構いません。
逆に、数字を見ることで自分の調子が把握しやすくなる人もいるかもしれません。
大切なのは、自分の感覚や状態を丁寧に見つめて、小さな変化に気づいていくことです。
以下のような問いかけを、1週間に一度だけでも振り返ってみるのがおすすめです。
ウェイトウェルネスのセルフチェックリスト
- 最近、よく眠れていますか?
- 食後に気分よく過ごせていますか?
- 体を動かすことを「面倒」ではなく「気持ちいい」と感じる瞬間はありますか?
- 無理のないペースで、生活習慣を続けられていますか?
- 今の自分に対して、少しでも「よくやってる」と思えていますか?
すべてに「はい」と答えられなくても大丈夫です。
ひとつでも「できている」「気づけた」と思えることがあれば、それがもう十分な前進です。
ウェイトウェルネスは、誰かと比べて優れているかどうかではなく、昨日よりも少しだけ、自分に優しくなれているかに気づくことから始まります。
私自身、いまだに迷うこともあります。でも、そんなときでも「整える」という言葉を思い出すことで、やり直すことができています。
完璧を目指すのではなく、自分なりのペースで「整えていく」。
その積み重ねこそが、私にとっての“正解”なのだと思っています。
まとめ:自分にやさしい未来を整える

私が「整える」ことを大切にするようになってから、体重に対する見方は大きく変わりました。
かつては、「やせなければ」と焦るばかりで、自分の状態に厳しくなっていたように思います。
でも今では、数字よりも日々の体調や気分、暮らしの流れに目を向けるようになりました。
ウェイトウェルネスという考え方は、私にとって “暮らしと体を調和させる” ヒントになりました。
完璧な食生活でも、ハードな運動でもない。
ほんの小さな一歩を重ねていく中で、自分に合ったバランスが見えてくるのだと、今では感じています。
もちろん、今でも体重が気になる日や、生活が乱れてしまうこともあります。
でもそんなときも、「整える」ことを思い出せば、自分を責めるのではなく、静かに立て直すことができます。
この文章を読んでくださっているあなたにも、あなたなりの “整った状態” がきっとあるはずです。
それは誰かが決めるものではなく、自分自身が心地よく過ごせることを基準にしていいのだと思います。
体重というひとつの尺度から離れて、もっと自由に、もっとやさしく自分の体と向き合ってみませんか。
「整える」ことを通じて、暮らしがすこしずつ心地よく変わっていく —— その体験を、あなた自身のペースで味わっていってください。
おことわり
本記事は筆者自身の体験と価値観をもとに、「ウェイトウェルネス」という考え方について紹介しています。
健康や体重管理の方法は人それぞれ異なり、すべての方に当てはまるものではありません。
また、特定の医療的アドバイスや治療法を提案するものではなく、必要に応じて専門の医療機関や専門家への相談をおすすめいたします。
読んでくださる皆さまが、ご自身に合った心地よい整え方を見つけるためのヒントとなれば幸いです。
本記事で使用した画像はNapkin AIを利用しています。